2014年12月31日

【読了24】僕たちは島で、未来を見ることにした

共著者の阿部裕志さんと出会ったのは、昨年参加した「社会イノベーター公志園」でのこと。
恥ずかしながら、それまで海士町についても株式会社巡の環についても存じませんでした。
それから半年間、プレゼンや研修を通じて少しずつ阿部さんとその活動を知るにつれ、そして阿部さんが公志園出場者に声かけして仙台での飲み会を開いてくれたのを転機に、阿部さんはもちろん、海士と巡の環に俄然興味をもちました。
今年9月、名古屋では初開催となる「オトナのAMAカフェ」にお邪魔して、本書を購入。けっこうな厚さでなかなか自宅の本棚から手にすることができなかったんですが、なんとか年内に読みたいなと年末の家族旅行のカバンに入れておきました。で、読み出したら止まんなくて、電車の中でもバスの中でも宿泊先でもずーっと読みふけっていました。




本書は、巡の環の創設者である阿部さんと信岡さんの二人が交互に海士での経験やその時々の想いを書き連ねていて、その間に10人の「海士の人インタビュー」が加えられています。10人の“海士人”からは、いずれも阿部さんたちの「地域への馴染み方」を賞賛する声が聞かれます。まさに、“ヨソ者”のお手本。同じヨソ者でも、今の僕の“地域”への関わり方とは全然ちがうから比べることはできないんですけど、共感できるところは少なくありません。

そして本書を通じて、“海士人”からも、阿部さんからも、信岡さんからも、何度も何度も「それで、キミはどう?」と問いかけられるんです。「キミにとって、しごとって?はたらくって?食べるって?ふるさとって?暮らしって?生きるって?しあわせって?」と。
でもそれはホントは、みなさんの姿形を借りた“内なる自分”からの問いかけなんだってことに気づかされます。阿部さんに限らず、“社会”に届けようとする公志園出場者の発する言葉はどれも、常に自分に向けられたものでもありました。

その中でもとくに、「何かを選ぶということは、本来前提として自分が好きなもの、大切にしたいものは何かを知ることなしにはできないはず(中略)自分の好きな人が作った野菜やお米は、なんだか美味しい。」という言葉に、あぁそうだなぁ、と思いました。
コーディネーターや代表という立場に就いてからはとくに、安易に好き嫌いで仕事の内容や相手を選んだり、私情で物事が進まなかったりすることのないよう気をつけているんですけど、プライベートではもっと感覚的・感情的に物事を選んでもいいよなと、気持ちが軽くなりました。

やっぱ、来年こそは海士町に行きたい!
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2014年12月29日

【読了23】日本でいちばん「親切な会社」をつくる

たまたまウェブニュースで知って、おもしろそうだなってポチッた本です。



惹かれたのは本のタイトルじゃなくて、“外国人労働者が働きたい会社「牛たんねぎし」の魅力”ってゆー記事のタイトル。
読んでみると、たしかに「Fパートナー」と呼ばれている外国人アルバイトをとても大切に扱っているようです。約300人いるFパートナー(全従業員の3割)は、その8割が中国籍。彼らに十分な研修機会に加えて、生活面でのサポートも行っているそうです。そのサポートも、独自のアンケートから見えてきた、彼らが日本での生活で抱えている課題をもとにプログラムされているところはすごいなぁと思いました。
また働くうえでは、日本人従業員も含めて「100ステップ・プログラム」という、昇進に必要な身につけるべきノウハウを具体的に示していることが、「外国人だから」と差別待遇を感じなくてすむようになっているのもいいなと思います。

こうした関わり方は、「飲食業界の人手不足は今後ますます深刻になり、外国人アルバイトに頼らざるを得なくなる。“Fパートナー”を大切に育てていくことが、会社の発展と成長には欠かせない」と考えているからなんですね。外国人技能実習生を雇用している企業がこの考え方を持ってくれればなぁと心底思いました。


外国人雇用に限らず、会社設立当初の“狩猟型経営”により従業員を失い大失敗したことから生まれた「人財共育」に対する熱い思いと具体的な実践の積み重ねも、いろいろ勉強になりました。
「PDCA」の「C」を Communication とするなど、見習いたいと思います。
とにかく今度、東京に行ったら、食べに行こうと思います。

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2014年12月28日

【読了22】移民亡国論

ネットで一部話題になっていた(というか、やたら広告バナーが目についた)んで、どれどれ、と買って読んでみました。



“移民受入れ反対派”の意見について、以前だれかが「完全にデタラメなら無視すればいいが、ところどころ理解・共感できるところがあるから厄介だ」と言っていましたが、本書はおそらく意図的にそこをうまく突いているなと思いました。

たとえば、移民受入れに関する問題と対策について、「日本とアメリカは内部環境が違いすぎるのだ。環境が変わればソリューションも変わる。」とか、欧州での移民暴動について「差別と失業への不満がその背景」というのはその通り。ただ、そうであれば、欧米でうまくいっていても日本でうまくいくとは限らないというのと、欧米で問題が起きているから日本もそうなるとは限らない、とも言えますよね。
また、暴動の問題は「移民」を受け入れたからではなく、移民の受け入れ方に問題があったのだということならば、他のところで「移民」自身が問題をもたらす、というのと矛盾しているのでは?

そう、本書にはそういう“矛盾”と感じるところがいくつか見られます。
受入れ方の失敗を指摘する一方で「移民が社会を不安定化させていっている」としているし、「移民推進派は、移民や外国人労働者の受け入れが『うまくいっているように見える外国の事例』は持ち出すものの、失敗例については沈黙している」ことを指摘しながら、本書では『うまくいっていないように見える外国の事例』は持ち出しているものの、成功例については沈黙しています。

ここが一環していてバランスもとれていると、もう少し“推進派”との「議論」にもなるんじゃないでしょうかね。
ただ、それにしても、あからさまな「嫌韓・嫌中発言」は論外です。愛国心を表現するのは自由ですが、特定の民族への誹謗中傷をしている限りは、まともな議論はできません。プロフィール欄に「データに基づいた経済理論が高い評価を得ており」とありますが、隣国の人々を十把一からげに「人々は互いに信頼しあうことがなく、だれもが虚言を吐き、少しでも自分に利益をもたらそうとする」なんて...。開いた口が塞がりません。参考文献を見ると若干、「ああ、なるほど」と思いますが。この点だけは、著者本人以上に出版社の意識に疑問を感じます。

欧州の「多文化主義」と日本のこれまでの「多文化共生施策」を同一のものとしていたり、「スウェーデンのNPO(特定非営利活動法人)」なんていうカワイイ間違いも含めて、読む側の知識やリテラシーが問われるという意味では、大学院生レベルとこれを“読む会”なんかしてみてもおもしろいなと思いました。
posted by 土井佳彦(Yoshihiko DOI) at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月18日

【読了21】なぜ今、移民問題か(1)

最近は、いくつかの本を並行して読んでるので、なかなか一冊全部読み終わらない。
これもまだ途中なんだけど、けっこうなボリュームなのと、面白いところが多いんで、何回かに分けて感想を書いておこうと思う。



本書は、4人の論客による38ページの座談会記録から始まる。
4人ともが多文化共生・移民受入の”推進派”なので「議論」じゃないんだけど、「へぇ〜、なるほど、ふむふむ、そーなんだ」と、なかなか面白い。この話についていけるかどうかって、基本的な勉強ができてるかどうかを見るひとつのポイントになるな。

唯一知らなかったのは、「1988年に、当時の労働省の研究会が雇用許可制度を提案しましたが、法務省のすごい反発があって、結局だめになりました」ってこと。へぇ〜。
で、調べてみると、たしかにそれに関する記録がいくつかあった。これらによると、反発したのは法務省だけではないみたいだけど。

 ■「有期雇用の行方―派遣労働・外国人労働・非正規雇用の動向」外国人労働者問題の“ねじれ”について
 ■「日本労働年鑑 第59集 1989年版」法政大学大原社会問題研究所
 ■「日本の外国人労働者受け入れ政策」藤井禎介
 ■「韓国の「外国人力」受入れ政策」宣元錫

行政って、2,3年で担当者がかわるから、こっちのほうが詳しいこともけっこーあるんだけど、こういう過去にだれが何言ったとか、それでどうなったとかってことを何年何十年経っても引っ張り出してきて、またそこから話をスタートされることが多々あるんで、制度づくりにアプローチしようと思ったら、こういうとこちゃんと勉強しなきゃなと思います。

そういう意味で、研究者の論文とかってありがたい。
僕は書くの大キライだけどw
posted by 土井佳彦(Yoshihiko DOI) at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月09日

投票用コミニュケーションボード

衆院選2014期日前投票がはじまっていますね。
今日(12/9)からは「最高裁判所裁判官国民審査」もスタート。
さっそく、投票に行ってきました。

ところで、先日facebookで久留米市の藤林詠子市議が、聴覚障害者のための「コミュニケーションボード」というのを紹介されていたのを見ました。投票所に手話通訳さんが常駐されているわけではないので、投票の仕方がわからなかったとき、その指さし会話のようなボードを使ってスタッフの方とコミュニケーションがとりやすいようにしようというものです。
これはすばらしい!と思って、投票所で探してみたのですが、残念ながらありませんでした。もうやだ〜(悲しい顔)

なんでだろ?
と思って、いろいろ聞いてみました。

藤林市議から、このボードを作成されたのは、東京都聴覚障害者の参政権保障委員会さんと、東京都選挙管理委員会さんだと教えていただきました。(ありがとうございました!)

  
  聴覚障害者投票、シートでガイド ダブル選16日 東京(朝日新聞 2012/12/15)

  平成25年度東京都職員提案制度 受賞提案一覧
  「聴覚障害者向け投票所用コミュニケーションボードの活用」


都の選管事務局にお電話すると「投票所に置くならこちらからデータを提供できるが、個人使用なら保障委員会さんに聞いてみてほしい」とのお答えでした。それで、保障委員会さんに電話で伺ったところ「愛知県にもデータを送ってあるから、そっちから送ってもらって使ってください」とのこと。

回り回って、愛知県の選管事務局にお電話したら「データはもらっているんですけど、愛知県の状況からしてそのまま使えないので、加工して使えるようにしているところです。今回の衆院選中には間に合いそうにないので、来月告示予定の県知事選には使えるようにしたい」とのことでした。

というわけで、衆院選2014では、愛知県内の投票所に「コミュニケーションボード」が置かれることはないようです。(すでに独自で入手されて使われているところありますか?)
が、別の方法の一つとしては、都の難聴者の方がご自身のブログにボードの画像をアップされていらっしゃるので、必要な方はご自身でそれをプリントアウトしてお使いいただく、ということでしょうか。
これでは公的な「保障」にはならないかもしれませんが、ご紹介まで。

 ブログ「難聴者の生活goo Facebookと連携します。」
  選挙をバリアフリーにするコミュニケーションボード
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posted by 土井佳彦(Yoshihiko DOI) at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする