2016年12月31日

【読了38】和僑

えーっと、この本どこで目にしたんだっけな。
たしか、Amazonで他の本をポチッたときに、オススメされたような。
タイトルに惹かれて、“ついで”にポチッたんだと思う。
そんなおぼろげな記憶のまま読み始めたらけっこー面白くてハマッてしまった。





本書は、学生時代に中国とつながりをもちはじめた日本人のルポライターが綴る7つの章に、さまざまな「和僑(わきょう)」たちが登場する。

「和僑」というのは「華僑」をもじった造語で、一般的には海外で暮らす日本人を意味するらしいが、筆者は「僑」という漢字の意味に即して、「中国大陸で僑(かりずまい)したり、僑(たび)したり僑(でかせぎ)をしたりしている和人(やまとびと)たち」という意味で使っている。

第1章では、筆者が2ちゃんねるでたまたま見つけた、中国の農村に婿(とつ)いだ日本人男性を探す旅。結局、会うことはできなかったんだけど、道中のやりとりが「進め!電波少年」のヒッチハイク旅みたいで、なかなかにおもしろい。

第2章は、マカオで働く日本人風俗嬢を訪ねる旅。これまた会うことは叶わなかったんだけど、情報を求めて出会う人々との会話が刺激的。

第3章は、第2章で出会えなかった風俗嬢を日本で探し当て、国内外各地で「仕事」をしてきた彼女の話。ある時期から「フクシマ」での需要が高まったという話が、胃のあたりにズシンときた。

本書でいちばん考えさせられたのが第4章。
“上海の中の日本”で生活する駐在員たちの話。グローバルな環境に身を置き人生の転換を図る人がいる一方で、昔ながらの「日本人ムラ」を維持し、現地になじまない・なじもうとしない人畜無害でおもしろくない「ダメな日本人」たちと、彼らをカモる日系企業。
しかし筆者は、「動乱を知らないコップの中の桃源郷」の住人たちを責めるのはお門違いだと言う。環境はまったく違えど、在日外国人に安易に(日本人社会への)「社会参画と自立」を促す人たちも同じだなぁと思った。

第5章は、僕にとっての非日常の世界の話。
日本で投獄を繰り返していたやくざが、縁あって上海に渡り、そこで日系企業らに請われて「組」をつくり、在上海日本人たちの暮らしを「保護」しているという話。マンガみたいな話だけど、ところどころに出てくる事件をググッたらちゃんと出てくるからビックリ。これも“必要悪”っていうのかねぇ。

なんとも虚しかったのが第6章。
戦後から「日中友好」に取り組んでいる、現存する組織の話。日本語ボランティア教室にも「中国」好きな高齢者が少なくないけど、なるほど、彼・彼女らの中にもこういう背景をもっている人がいるのかなと思った。後半、彼女らに対する筆者の解説はひどかったけど、日中友好よりずっと曖昧な「国際交流」について考えると、苦笑いするしかなかった。

そして最終章は、なんと第1章で会えなかった男性と筆者が中部国際空港(!)で対話する場面。
そこで彼が語る、リアルな中国の農村社会とそこに暮らす人々の話はとっても興味深い。こういう、自分が見たことも聞いたことも考えたこともない話を聞く・読むのがいちばん楽しい。読書の醍醐味。彼が最後に語った「日本より中国の方が自由で暮らしやすい」という言葉を、いつか実感してみたいなと夢見て本を閉じた。
posted by 土井佳彦(Yoshihiko DOI) at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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