2017年05月14日

【読了43】読み手に伝わる公用文

GW中に読み漁った「やさしい日本語」関連の1冊。
今までに読んだ関連書籍とはちょっとちがうスタイルでおもしろかった。




本書の特徴は3つ。

まず、タイトルのとおり、コミュニケーションのうちの「書き言葉」、それも主に行政から出される公用文(公的文書)に特化した内容であること。

次に、いわゆる“普通の日本語”から、<やさしい日本語>への、狭い意味での「書き換え」ではなく、文章全体の構成とか、文がついつい難しくなってしまう背景・要因への留意点とかがたくさん書かれてあること。

最後に、全体を通してこちらに話しかけてくるような文体で書かれているので、この手の本や論文の中では比較的読みやすいということ。


ちなみに、同じ科研チームから先に上梓された『やさしい日本語 −多文化共生社会へ』(庵, 2016)との区別のためか、文法的な詳しい解説とか、多文化共生社会うんぬんとか、日本語教育との絡みなんかについては触れられてないので、ある意味スッキリしててよかった。


で、中身だけど、各章に参考となる留意点がちりばめられてて、ざっと読むだけで気づきが得られる良書。
僕がそう思うんだから、日ごろ公用文を書かれている立場の方からすると、もっと気づき(反省点?)が多いんじゃないかな。

たとえば、帰宅困難者対策に関する注意喚起のチラシなんかに「外出時には地図、携帯ラジオ、携帯電話の充電器などを持ち歩きましょう」って書いてあるのに対して、「実行不可能な注意事項をつらつら並べ立てるのは無茶ぶりだ」(p.23)ってのには賛同(充電器は持ち歩いてるけどね)。書いてる自治体職員さんだって、全員持ち歩いてないでしょw

中でも特に共感したポイントが2つ。

一つは、「『誰に伝えるのか』を明確にせずに、『何を伝えるのか』は決められない」(p.30)ってとこ。
行政なら「市民のみなさんに」ってのはそうかもしれないけど、「市民」もいろいろですからねぇ。

もう一つは、「市民向けのものに限って法律文の痕跡を残さない努力が必要」(p.111)ってとこ。
ときどき、お知らせとかに「◯◯は民法第△条に基づく××に依って〜」とかって書いてあるけど、なんじゃそりゃ?って感じ。いちいち六法全書引っ張り出してきて確かめたりしないしね。法律用語をそのまま使ったり、国からの文書をコピペしてるのも論外。それをわかりやすく市民に伝えるのが仕事なのにサボんなよ!って思うよね。

と、まあ、こんな感じで市民目線の指摘が満載なので、ぜひ仕事で公用文を書く機会のある人にはお読みいただきたいですな。


最後に、文章が難しくなりがちなのは行政マンの他に(筆者も含めた)大学教員って書いてあって、研究者にありがちなポイントも書かれてるにもかかわらず、本書にはその研究者がやりがちな、やっちゃいけないことが随所に見られたんで、あぁ、やっぱり専門家でもうまくいかないんだなと思った(爆)

僕も気をつけよーっとw
posted by 土井佳彦(Yoshihiko DOI) at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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